経営者にとっても後継者にとっても、事業承継は人生の大きなターニングポイントであり、不安要素の1つです。
事業承継を検討していても制度やスキームが複雑で、始めようにも「何から手を付ければいいかわからない」という方も多くいらっしゃいます。
そこで、本記事では、事業承継に関するおすすめの本をご紹介。
事業承継を考えている経営者の方や後継者になる方にとって、どのような本を選ぶとよいかをお伝えします。
事業承継とは
事業承継とは後継者に会社の経営を引き継ぐことです。
主な承継先は、親族内承継、役員・従業員承継、社外承継の3タイプがあります。
事業承継が進む背景
日本における事業承継が進む背景には、主に高齢化社会の進展と後継者不足があります。
経営者の平均年齢が上昇し、多くの中小企業経営者が60代から70代に達する中、引退を考える経営者が増え事業承継の必要性が急速に高まっています。
また、少子化の影響で家族内での後継者が見つからないケースが増加し、外部から後継者を探す企業も増えています。
さらに、事業環境の変化や技術革新のスピードが速まり、次世代の経営者に早期にバトンタッチすることで企業の競争力を維持・向上させることも必要です。
これらの要因があるため、日本における事業承継の重要性が一層強調されるようになっています。
事業承継の課題
事業承継の課題は多岐にわたります。
ここでは3つの課題を紹介していきます。
後継者の選定
後継者の選定は大きな課題の1つです。
特に少子化の影響で親族内での後継者が見つからないケースが増え、社外から適切な人材を探すことを求められることも多くなっています。
税金対策
事業承継に伴う税金対策も重要です。
相続税や贈与税の負担は会社規模が大きいほど大きくなり、事前に適切な対策をとることが必要です。
承継後の経営体制の整備
事業承継後の経営体制の整備も課題となります。
新たな経営者がスムーズに事業を引き継ぎ、既存の従業員や取引先との関係を維持・発展させるためには、計画的な準備と支援が不可欠です。
本を選ぶ際のポイント
事業承継に関する本を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。
ポイントを抑えて自分の状況やニーズに合った最適な本を見つけましょう。
読みやすさ
事業承継の本は専門的な内容が多く含まれているため、初心者にとって難しいと感じることがあります。
そのため、まだ専門知識が無く自信も無いという方は、専門用語が少なくわかりやすい言葉で書かれている本、または図表・図解の多い本を選ぶことが重要です。
特に、見出しや最初の数ページを試し読みし、文章が自分にとって理解しやすいか、確認することをおすすめします。
内容の深さ
事業承継の本には基礎知識を提供するものから、具体的な実務や戦略に焦点を当てたものまで、様々な種類があります。
自分の知識レベルや目的に応じて、適切な内容の本を選びましょう。
例えば、初めて事業承継を学ぶ場合は、基礎知識を網羅した入門書が適しています。
一方、実務に役立つ具体的な情報が欲しい場合は、詳細なケーススタディや戦略が記載された本がおすすめです。
著者の信頼性
著者が事業承継の専門家や、実務経験を持つ経営者である場合、その本は信頼性が高く、実践的なアドバイスが期待できる可能性が高いです。
著者の経歴や専門分野を調べることで、信頼性のある情報源を選ぶことが可能です。
レビューや評価
インターネットや書店のレビューを確認し、他の読者がその本をどのように評価しているかをチェックします。
高評価の本は多くの読者にとって有益である可能性が高いため、信頼できます。
おすすめの本
ここからは事業承継についておすすめの本を紹介していきます。
- 事業承継のツボとコツがゼッタイにわかる本
- アトツギが日本を救う 事業承継は最高のベンチャーだ
- 初めてでも分かる・使える 株式交換・株式移転の実務ハンドブック
- 事業承継が0(ゼロ)からわかる本
- 中小企業向け 会社を守る事業承継本
- いちばんわかりやすい! 新事業承継税制のかしこい使い方
- 2時間でざっくりつかむ! 中小企業の「事業承継」はじめに読む本
- 中小企業の事業承継
事業承継のツボとコツがゼッタイにわかる本
中小企業の経営者を対象に、事業承継の基本知識とノウハウをQ&A形式でわかりやすく解説している一冊です。
弁護士、税理士、公認会計士が監修しているため、法律や税務の視点から実践的なアドバイスが得られます。
Q&A形式で具体的な疑問に答えているため、自分の課題に即した情報を簡単に探せます。
初めて事業承継を学ぶ経営者にとって、全体像を把握しやすい一冊です。
- 著者:みんなの事業承継研究会
- 書店発売日 2019/09/14
- 公式サイト https://www.shuwasystem.co.jp/book/9784798057712.html
アトツギが日本を救う 事業承継は最高のベンチャーだ
親の会社を引き継ぐことに迷う後継者に向けて、事業承継の現実と魅力を伝える本です。
著者自身の経験に基づき、後継者の苦労や成功体験を著者の実体験をもとに書いています。
事業承継に対するネガティブなイメージを払拭し、ポジティブな視点で新たな経営の可能性を示している点が魅力です。
後継者としての覚悟を持つためのヒントが多く含まれています。
- 著者:山根太郎
- 書店発売日: 2018/10/11
- 公式サイト https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344033696/
初めてでも分かる・使える 株式交換・株式移転の実務ハンドブック
株式交換、株式移転、株式交付といったM&Aの基本手法を初心者向けに具体例を挙げながら、解説した実務書です。
税理士法人によって執筆されており、具体的な事例を交えながら分かりやすく解説しています。
初めてM&Aを扱う経営者でも理解しやすい内容で、実務に直結した情報が豊富です。
専門的な手法を学ぶための入門書として最適です。
※令和5年度税制改正により、令和5年10月1日以後に行われる株式交付について、株式交付後に株式交付親会社が同族会社に該当する場合は、株式の譲渡損益課税の繰延措置の対象外となりました。
- 著者:税理士法人 山田&パートナーズ
- 書店発売日: 2021/09/16
- 公式サイト https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-39881-0
事業承継が0(ゼロ)からわかる本
事業承継の基礎から具体的な手法までを詰め込んだ入門書です。
事業承継の専門家が事業承継の全体像をわかりやすく解説しています。
会話形式で書かれており、専門用語を極力避けているため読みやすく、説明だけでなく、具体例が書かれていてわかりやすいです。
基礎から丁寧に説明されているので、初めて事業承継を学ぶ方に最適です。
事業承継税制についても触れており、全体像を把握するのに役立つでしょう。
- 著者:半田 道
- 書店発売日: 2020/07/13
- 公式サイト https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-35261-4
中小企業向け 会社を守る事業承継
中小企業の事業承継の重要性と具体的な手法を解説した本です。
様々ある事業承継の方法のメリット・デメリットについて解説しています。
M&Aプラットフォームの活用や金融機関との協業など、現代の事業承継に役立つ最新の手法を紹介しています。
著者の豊富な経験に基づく具体的なアドバイスが充実しており、後継者の育成や社内の人材承継にも対応しています。
デジタル化が進む中で新たな事業承継の形を学ぶことが可能です。
- 著者: 瀧田 雄介
- 書店発売日: 2022/01/31
- 公式サイト https://book.alc.co.jp/book/b10029957.html
いちばんわかりやすい! 新事業承継税制のかしこい使い方
事業承継税制の基本的な仕組みから具体的な手続き、活用ケースまでを詳しく解説しています。
資産税専門の税理士による執筆で、実務に即した具体的なアドバイスが豊富です。
事業承継にかかる相続税や贈与税をゼロまたは少額に抑える方法を丁寧に解説しており、実践的な参考書として非常に役立ちます。
- 著者:小林満春
- 書店発売日: 2019/6/1
- 公式サイト https://book.cm-marketing.jp/books/9784295403012/
2時間でざっくりつかむ! 中小企業の「事業承継」はじめに読む本
「後継者探し」から「アフターフォロー」までの流れを網羅的にわかりやすく解説している1冊です。
トピックごとにカラー付イラストが掲載されており、わかりやすさを重視した入門書として有効活用できます。
「2時間でざっくりつかむ!」というタイトルにある通り、事業承継の重要ポイントを掴むことができるため、これから事業承継について考えようとしている方におすすめです。
- 著者: 藤間 秋男
- 書店発売日: 2021/4/26
- 公式サイト https://www.subarusya.jp/book/b563370.html
中小企業の事業承継
「親族への承継」「従業員への承継」「M&A」に「信託」を加えた事業承継の方法を軸に、財産権及び経営権承継の基礎から具体的な応用策までを解説した一冊。
豊富なフローチャートやイラストと共に、見落としがちなポイントや高度なテクニックも学べます。
2024年9月現在、毎年最新の内容に改訂されています15訂版まで発売されています。
事業承継の最新動向に沿った詳しい解説を読むことができ、経営者の方だけでなく支援機関の専門家にもおすすめです。
- 著者:牧口晴一・齋藤孝一 著
- 書店発売日:
- 公式サイト https://store.skattsei.co.jp/book/products/view/2241
本を読んだ後にすること
事業承継に関する本を読んだ後には、以下のステップを踏むことで、実際の事業承継プロセスを円滑に進めることができます。
最新情報の確認
書籍を読む場合には、その書籍の出版年月日に関しては注意するようにしましょう。
国の税制や事業承継に係る制度は現在進行形で日々更新されています。
実際に、令和6年の税制改正によって、特例承継計画の提出期限が令和6年3月31日から令和8年3月31日まで延長されるなど、制度の変更は少なくありません。
変更されている税制や補助金制度等があることも十分に念頭に置き、書籍を読む際には信頼ある機関(省庁や自治体)のホームページで最新情報を確認するようにしてください。
行動プランの策定
読んだ本の内容を基に、自社の事業承継に向けた具体的な計画を立てましょう。
現状の把握、後継者の選定、事業承継のスケジュール設定など、細かいステップを明確にします。
専門家への相談
弁護士、税理士、事業承継コンサルタントなど、専門知識を持つプロフェッショナルにアドバイスを求めましょう。
書籍を読むだけでは理解しきれないことや、会社独自の事情に応じた法的・税務的な問題をクリアにし、最適な事業承継方法を見つけることができます。
事業承継M&Aパートナーズでは、事業承継に関するご相談を承っております。
初回相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
社内外のコミュニケーション
従業員や取引先に対して事業承継の計画を共有し、理解と協力を得ることが成功の鍵です。
透明性のある情報共有は、関係者の信頼を維持し、スムーズな移行を実現します。
定期的な見直しとフォローアップ
事業承継計画は一度立てたら終わりではなく、状況の変化に応じて柔軟に対応することが求められます。
定期的に計画を見直し、必要に応じて修正することで、事業承継の成功確率を高めることが可能です。
後継者の育成
後継者が新たな経営者として必要なスキルや知識を習得できるよう、適切な研修やトレーニングプログラムを提供します。
実務経験を積ませることで、自信を持って経営を引き継いでいけるようにします。
事業承継の本を読んで次のステップに進もう
事業承継は経営者や後継者にとって大きな課題です。
M&Aや税金などについて多くのことを学び、課題を解決していく必要があります。
紹介した本を読むことで事業承継について基本的なことから学び、理解を深めることができます。
事業承継を次のステップに進めていくための一歩になるでしょう。
※本記事は、その内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
詳しくは当センターへお問い合わせいただくか、関係各所にお問い合わせください。