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上場企業のような、大きな会社だけでなく、規模が小さな会社においても、社長交代は社内外へ重大な影響があります。
今回のコラムでは、社長(代表取締役)の変更に必要な5つの手続きについて解説していきます。
社長(代表取締役)変更には欠かせない登記変更で必要な費用についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

  1. 社長変更に必要な5つの手続き
  2. 代表取締役変更に必要な費用
  3. 代表取締役変更時の注意点
  4. 計画的な社長交代を

社長変更に必要な5つの手続き

社長という肩書に法律的な規定はないため、肩書きだけであれば自由に変更することは可能です。

しかし、代表取締役もしくは取締役を変更する場合では、以下のような複雑な手続きが必要になります

  • 社内での決議(取締役会・株主総会)
  • 法務局での登記変更
  • 税務署及び各都道府県、自治体税事務所での手続き
  • 取引先金融機関での手続き
  • 年金事務所での手続き

上記手続き以外にも、代表取締役が変更した際に必要であり、忘れがちな手続きをまとめたので、参考にしていただければ幸いです。

社内での決議

代表取締役を変更する際の社内での手続きについて解説します。
取締役会を設置している場合と設置していない場合で、手続きが異なる点に注意が必要です。

取締役会設置会社の手続き

取締役会を設置している会社の場合、一般的に取締役会で代表取締役選定の決議をする必要があります。
代表取締役は、取締役の中から選定されるため、それ以外の従業員などが代表取締役になる場合は、まず取締役の就任を済ませなければいけません。

取締役会非設置会社の手続き

代表取締役の選定方法が定款に記載されている場合は、その方法に沿って行いますが、
取締役会非設置会社の場合では、基本的に以下の方法で選定します。

  • 株主総会の決議での選定
  • 取締役の互選での選定
  • 代表取締役氏名の定款への記載

設置会社と同様に、代表取締役に就任するためには、事前に取締役に就任していなければいけません。

法務局での登記変更

社内での手続きが完了したら、登記変更するために、法務局に書類を提出しなければいけません。

提出する書類は基本的に以下の6つです。

  • 取締役会・株主総会の議事録
  • 変更登記申請書
  • 辞任届
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 印鑑届書

会社によって用意しなければいけない書類は異なるため、一例としてご参考ください。

取締役会・株主総会の議事録

取締役会または株主総会にて議決されたことを証明するために、議事録を提出する必要があります。

変更登記申請書

法務局には、会社の事業や役員の人数や名前などを登記しています。
そのため、代表取締役を変更する際は、法務局に変更登記申請書を提出して報告しなければいけません。

辞任届

辞任届は、文字通り代表取締役の辞任の意思を表明するための書類です。

就任承諾書

一方で、就任承諾書は新しく代表取締役になる方がその意思を表明するための書類です。

印鑑証明書

旧代表取締役、新代表取締役、事務手続きを行う取締役の3名の印鑑証明書を提出する必要があります。

印鑑届書

代表取締役が変更することで、代表印を変更しなければいけない場合があります。
例えば、代表印に個人名が刻印されている場合は、使い回しができないため、新しい印鑑を用意し、変更手続きをしなければいけません。

法務局から登記変更を証明した書類の提出を求められる場合、登記事項証明書を提出しましょう。
登記事項証明書は法務局の窓口やオンラインでも申請することができます。

税務署及び各都道府県、自治体税事務所での手続き

代表取締役を変更した場合、税務署にも報告しなければいけません。
国税を申告する際、基本的に代表取締役の署名を求められますが、代表者の相違があると、納税の際に手続きが遅れる可能性があります。

国税を取り扱う税務署だけでなく、県税事務所(県民税)、市町村役場(市町村税)などの地方税を取り扱う機関にも代表者の変更を申告する必要があります。
※東京23区の場合、特別区の届出は必要ありません。

提出書類は各機関で定められているため、ホームページもしくは窓口で確認することをおすすめします。

取引先金融機関での手続き

銀行を開設する際に、旧代表取締役の名前で解説している場合は、名義の変更を行わなければなりません。
複数の金融機関で開設していることもあるので、漏れのないよう注意しましょう。

添付書類として登記簿の写しを求められるので、事前に準備しておくことでスムーズに手続きを行うことができます。

年金事務所での代表者変更の手続き

年金事務所にて代表者の変更届の提出が必要です。

添付書類も必要なく、社長名や住所などを記入するだけの簡単な手続きであることが多いですが、従業員の年金支給に関わることなので、忘れずに手続きを行いましょう。

その他手続き

代表取締役を交代すると、公的機関での手続きだけでなく、その他様々なところで変更をしなければいけません。
以下に主要なものをまとめたので、参考にしてください。

関係者への挨拶

代表取締役変更を社内の従業員に通知することはもちろんのこと、社外の関係者に挨拶状を送ることも欠かさず行いましょう。

挨拶状を送るタイミングとしては、代表取締役が変更した当日が適切です。
会社の信用構築のためにも、重要な取引先には直接訪問し、挨拶することが望ましいです。

ホームページ変更

忘れがちなものとして、ホームページの修正が挙げられます。
会社情報に代表取締役の名前が記載されている場合は、新代表取締役の名前に変更する必要があります。

契約書・請求書

契約書・請求書の作成の際に、毎回一から作るのではなく、テンプレートを作成し、利用している会社は多いと思います。
テンプレートに代表取締役の名前が記入されている場合は、その変更も必要になります。

代表取締役変更に必要な費用

代表取締役変更の登記申請の際、登録免許税として、資本金が1億円を超える場合は3万円、それ以下であれば1万円の納税義務が発生します。
さらに、印鑑証明書発行手数料で1通300円、代表印の作成費用などもかかります。

また、書類作成を司法書士等に代行してもらう場合は、その報酬も必要になります。

代表取締役変更時の注意点

代表取締役を変更する際は登記懈怠に注意しなければなりません。
会社法では、登記事項に変更が生じた際は2週間以内に届け出なければならないと定められています。

登記事項の変更が生じてから2週間以上登記変更の届け出をしなければ、登記懈怠になってしまい過料が課されてしまうでしょう。
登記懈怠1件につき最大50万円の過料が課されてしまいます。

登記申請の時間がとれない場合は、以下の方法で登記申請することが可能です。

  • 司法書士に登記手続きを代行してもらう
  • 法務局へオンライン申請する

登記懈怠をしてしまうと、過料が課されるだけでなく会社の信用にも影響を与える可能性があります。
早めに登記申請を済ませておきましょう。

計画的な社長交代を

今回は代表取締役が変更した際に、必要な手続きを中心に解説していきました。
代表取締役の変更は、会社にとっても大きな影響を及ぼします。
公的機関での事務手続きだけでなく、関係者への挨拶なども必要なので、スムーズに行うためにも準備に余裕を持ち、計画的に進めることが大切です。

事務手続きとしては基本的に、

  • 社内での決議(取締役会・株主総会)
  • 法務局での登記変更
  • 税務署及び各都道府県、自治体税事務所
  • 取引先金融機関
  • 年金事務所

の5つが必要になりますが、法務局での登記変更の際、登記懈怠には特に注意しましょう。

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