顧問税理士を変更する際に、難しい手続きはほとんどありません。
基本的に「解約の意思」を伝えることで、顧問税理士との契約は解除することができます。
ただ、なるべく穏便に顧問税理士との契約を断ち、スムーズに変更するには、事前に計画を立てることが大切です。
今回のコラムでは、税理士変更の流れや変更理由、失敗しない税理士の選び方について詳細に解説いたしますので、是非最後までご覧ください。
税理士変更の流れ
税理士を変更する際は、以下の流れで行います。
- 契約内容の確認
- 税理士変更のスケジュールを立てる
- 顧問税理士への報告
- 書類の回収
- 新しい税理士に変更
1.契約内容の確認
顧問税理士の変更を行う際は、顧問契約書の内容をまず確認することから始めましょう。
税理士はいつでも解約できるという訳ではありません。
契約内容に「契約期間完了日の〜ヶ月前までに、双方に意思表示がない場合、自動更新を行う。」のような契約期間や期限が定められていた場合、その期間が完了するまで解約することができません。
契約期間中に、強引に契約解除を行うと、違約金を求められる場合もあるため注意が必要です。
そのため、最初に、このような契約内容が含まれているのか、含まれていた場合、いつまでが契約期間なのかを把握することが重要です。
2.税理士変更のスケジュールを立てる
現在の顧問税理士との契約内容を確認した後は、どのタイミングで税理士の変更を行うか計画を立てましょう。
税理士との顧問契約書に契約期間に関する内容が含まれていた場合、その期間を考慮した上で、税理士を切り替える時期を決めましょう。
また、変更先の税理士がまだ決まっていない場合は、この段階で探し始めることをおすすめします。
コラム後半で失敗しない税理士の選び方についても解説いたしますので、どのような基準で選べば良いか分からないという人はぜひ参考にしてください。
3.顧問税理士への報告
税理士変更までの全体の見通しが立てば、次に顧問税理士へ解約の意思を伝えます。
顧問税理士に解約の意思を伝える場合は、以下の2つのことに注意しましょう。
- 解約の期日を明確に伝える
- 穏便に契約を解消する
解約の期日は、しっかりと伝えましょう。
電話だけの情報伝達では、記録に残らないため、後にトラブルを回避するためにもメールなどの記録に残る媒体での報告をおすすめします。
また、顧問税理士には解約に際して、書類の返却など、協力してもらわなければいけないこともあるので、なるべく穏便に報告することが大切です。
解約の理由が、「税理士報酬が高い」など、言いにくく、相手の気分を害する恐れがある場合は、「身内に頼むことになった」などの当たり障り無い理由で解約を伝えるのが良いでしょう。
4.書類の回収
次に、税理士業務のために預けていた書類やデータを、顧問税理士から回収します。
ここで漏れなく回収できないと、変更先の税理士への引継ぎの際に、面倒なことになってしまいます。
回収書類やデータは以下のようなものがあります。
- 決算書
- 領収書・請求書
- 総勘定元帳
- 試算表
- 仕訳帳
- 給与管理書類
- 会社の定款
- 登記簿謄本
どのような業務を税理士に委託しているかで、預けている書類は異なるため、あくまで一つの参考としてご覧ください。
稀に、自分の税務上のミスを知られたくないなどの理由で、資料の返却を拒む税理士もいます。
仮に、税理士が資料の返却を拒んだ場合でも、書類の所有権は税理士ではなく、顧問先にあるため、堂々と返却をお願いしましょう。
ただ、電子データの場合は、顧問先への所有権が認められない場合もあります。
顧問契約書を確認し、電子データの所有権が、顧問先に認められていれば、返却を求めることができます。
5.新しい税理士に変更
税理士同士での、引継ぎ作業は基本的にありません。
スムーズに引継ぎ作業を行うには、事前に税理士に引き継ぐために必要な書類を用意しておく必要があります。
必要な書類は、主に以下の4点です。
- 会計書類(請求書・領収書など)
- 決算報告書
- 各申請書・届出書
- その他 (登記簿謄本・定款など)
また、契約の際は、税理士に希望をしっかりと伝えましょう。
前の税理士に何か不満があり変更した場合には、新しい税理士には明確に希望を伝え、意思の擦り合わせを行いましょう。
税理士変更のよくある理由
税理士の変更を行う場合には、どのような理由があるのでしょうか。
今の税理士から変更するかどうか迷っている場合は、一つの指標としてご参考ください。
- 税理士報酬が高い
- 節税効果を感じられない
- 相性が良くない
- 事業承継など、求める業務に対応できない
税理士報酬が高い
税理士への報酬が相場と比較して、あまりにも高い場合や、サービスに対して報酬額が見合ってないと感じる時に、税理士の変更を検討する場合が多いようです。
また、経費削減のために税理士へ委託している業務内容を減らして、報酬自体も減額させたいという場合もあります。
節税効果を感じられない
税理士は税の専門家であるため、節税効果を期待して、少額とは言えない報酬金を払い、顧問契約をしているケースは少なくないと思います。
そのため、顧問先の経営者が、思ったほど節税効果を感じられなかったり、事前に講じるべき節税対策が行われていないと、契約解除を検討する場合があります。
相性が良くない
性格や人柄という面が問題となり、税理士変更を検討する経営者も少なくありません。
経営者にとって、税理士がビジネスパートナーとして、相談相手となるケースはよくあります。
そのため、性格の面で相性や価値観が合わず、コミュニケーションが取りづらいというのは、意外に経営者にとっては大きな問題です。
事業承継など、求める業務に対応できない
前述したように、税理士は税務業務だけでなく、経営者のビジネス全般への相談相手としての役割も期待されています。
そのため、専門的な経営に関するアドバイスが無いことも、解約の理由としては多いようです。
最近では、経営者全般の高齢化に伴い、事業承継に関する相談を顧問税理士にするというケースもあります。
しかし、事業承継は税務以外の幅広い知識も必要であるため、顧問税理士が対応できないことも少なくありません。
事業承継での代替わりのタイミングで、事業承継の対応が可能な他の税理士に変更する場合も考えられます。
事業承継M&Aパートナーズでは、会計士や税理士などの士業の方向けに、事業承継の手続きサポート業務を行っております。
御社と顧問先の顧問契約は、継続したまま、事業承継に関する一部、もしくは全ての業務において請負対応させていただいております。
失敗しない税理士の選び方
初めて税理士を選ぶ場合でも、変更する場合でも、直接税理士に会い、話を聞くことが大切です。
直接話すことで、相手の人柄や能力をより詳細に知ることができるため、ミスマッチを防ぐことができます。
税理士を選ぶ際は、以下の項目をチェックして、自身や自社に合っているのかを確認しましょう。
- 税理士報酬
- サービス内容
- 性格の相性
- 事務所の規模
- 業界への理解度
報酬額やサービス内容、事務所の規模に関しては、書面での情報だけでも十分に知ることができますが、性格的な相性に関しては、実際に合って確かめるしかありません。
また、顧問先の会社の業界に対しての知識が豊富かどうかも確認してみると良いでしょう。
知識が豊富であれば、より専門的な経営へのアドバイスが期待できます。
まとめ
税理士を変更する際には、まず契約書に契約期間が記載されていないかを確認しましょう。
その後は、しっかりと計画を立て、税理士の契約期間が重複しないように注意する必要があります。
税理士も会社にとっては、重要な取引先であるため、トラブルを防ぐためにも、真摯に対応し、穏便に解約手続きを行いましょう。
※本記事は、その内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
詳しくは当センターへお問い合わせいただくか、関係各所にお問い合わせください。