黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
文字通り、黒字経営にも関わらず、倒産してしまうという現象ですが、なぜ黒字なのに倒産してしまうのか、不思議に思う方も少なくないでしょう。
実は利益が出ているからと油断していると、知らぬ間に倒産のリスクを招いてしまうのです。

本記事を参考に、ご自身の会社が黒字倒産になる危険性は高くないか、どのように改善していけばいいのかを把握し、円滑な運営に繋げていきましょう。

  1. 黒字倒産とは?
  2. 黒字倒産が起こる理由
  3. 黒字倒産の対策方法は?
  4. 黒字倒産に追い込まれた時の対処法
  5. まとめ

黒字倒産とは?

黒字倒産とは、損益計算書上では黒字の状態でありながら、キャッシュフローが悪化して経営破綻してしまう状態のことを言います。
利益が出ているにも関わらず、手元に現金が残っていないため、仕入れや給与、税金などの支払いが滞ってしまいます。

東京商工リサーチが2020年に行った「倒産企業の財務データ分析」調査では、2020年に起こった倒産のうち約半数が黒字倒産という結果が出ており、黒字倒産が珍しい事象ではないことがうかがえます。

黒字倒産が起こる理由

  • 売掛債権の未回収
  • 過剰な在庫

黒字倒産が起こる主な原因として、上記の2つが挙げられます。

売掛債権の未回収

売掛金などの売掛債権は他の収入と違い、商品を売ったその場で現金を受け取るのではなく、後から現金を回収する形をとります。
つまり、利益は上げているのに手元に現金がなく、給料や仕入れ代金などの支払いができなくなり、黒字倒産が起こってしまいます。

過剰な在庫

商品の販売が上手くいかず、在庫だけが大量に滞留し、手元に現金が入ってこない状況も黒字倒産に繋がる可能性があります。

過剰な在庫が経営に与える影響として、機会損失があることが挙げられます。
いつまでも売れない商品を陳列していると、売れそうな商品や新商品を売る機会が減ってしまいます。
売上が減ることで利益が得られず、現金の回収が難しくなってしまい、黒字倒産に繋がるというわけです。

適切な在庫管理により、効率的に現金を回収する必要があります。

黒字倒産の対策方法は?

  • 資金繰りを管理する
  • 無駄な在庫・仕入れを減らす
  • 売掛金比率を下げる
  • 買掛金比率を上げる

黒字倒産の対策方法として、以上の4つを説明していきます。

資金繰りを管理する

黒字倒産をしないためには、まず資金繰りの管理をしっかり行うことが重要です。
不安定な資金繰りをしていると予想外の事態に対応できず、気付いたら資金繰りが悪化してしまっているという状況にもなりかねません。

そこで、資金繰りの良し悪しを把握するためにチェックすべき3つの指標があります。

  • 自由資金比率
  • 自己資本比率
  • 当座比率

一般的に、自由資金比率は40%以上、自己資本比率は50%以上、当座比率は120%以上だと優良企業と言うことができます。

無駄な在庫・仕入れを減らす

過剰な在庫を抱えないように適時適量の仕入れを行い、在庫管理を最適化しましょう。

在庫管理の状態を客観視するための指標として交叉比率があります。
わかりやすく言うと、在庫がどれだけの粗利益を生み出しているかを見る指標です。

  • 交叉比率(%)=粗利益率×在庫回転数
  • 粗利益率(%)=粗利益/売上高×100
  • 在庫回転数(回転)=売上原価/平均在庫高

在庫回転数とは、一定期間で在庫がどのくらいの数量出入りしているかを示す指標です。
商品が在庫として入荷され、出荷されるまでを1回転とします。
在庫回転数に対して粗利益率をかけて交叉比率を明らかにすることで、在庫がどれくらい利益を上げているかを見ることができます。

交叉比率は高ければ高いほど効率良く利益を上げていると言うことができ、一般的には交叉比率が200%以上ある商品は十分な利益を生み出していると判断できます。
交叉比率を上げる具体的方法としては、以下のものが挙げられます。

  • 売値を上げる
  • 仕入れ値を下げる
  • 労務費を下げる
  • 在庫一掃セールを行う

上記のような方法が、売上原価を下げたり、在庫回転数を上げて、交叉比率の上昇及び黒字倒産の対策に繋がります。

売掛金比率を下げる

売掛金の未回収リスクを考慮し、取引方法や決済方法の見直しを検討することが黒字倒産の対策に繋がります。

具体的な方法としては、未回収の売掛金について督促したり、取引金額を徐々に減額できないか検討してもらうといったものが挙げられます。
また、従来「月末締め、翌月末払い」であったものを半月分短縮し、「月末締め、翌月15日払い」として回収期間を短くすることも売掛金比率を下げる1つの手段となります。

買掛金比率を上げる

買掛金は将来支払いを約束する負債ですが、手元に現金を残すことができます。
支払期間はできるだけ長くした方が資金繰りは改善しやすくなります。

そこで支払期間を延ばしてもらうためには、大量に仕入れを行う際や季節はずれの商品を発注する際など、変化が生じたタイミングの交渉をおすすめします。
支払期間が長くなることで手元に現金が残りやすくなり、その後の取引きも買掛金の支払期間を延ばしてもらえることが期待できます。

黒字倒産に追い込まれた時の対処法

  • 会社再建型の倒産手続き
  • M&A

黒字倒産に追い込まれた時の対処法として、以上の2つが挙げられます。

会社再建型の倒産手続き

法的な倒産手続きは「再建型の手続き」と「清算型の手続き」に大きく分けられます。

清算型の手続きになってしまうと破産・廃業をしなければなりませんが、再建型の手続きを実行できれば、会社を潰さずに残すことができます。
また、自力では返済が難しかった負債も法的な方法で大幅にカットでき、経営者がそのまま会社に残って経営を続けられる可能性もあります。

一方、一定額の負債は残ってしまうため、数年間は負債の返済が経営を圧迫したり、財務状況の悪化した会社を経営し続けなければならないストレスとも向き合う必要があります。
加えて、債権者の同意も必要になってくるため、再建型の手続きの実現自体が難しいという現実も理解しなければなりません。

実際、2019年の帝国データバンクの調査によると、2019年に倒産した企業のうち、清算型を選択し破産することになった企業が90%以上を占めています。

しかし、自分の手で会社を再生させたい、会社を潰したくないという経営者の方には是非選択していただきたい手続きです。
以下の5点の条件を満たしていれば、再建型の手続きを選択できる可能性は十分にありますので、確認してみてください。

  • 事業が黒字化する見込みがあること
  • 手続きにかかる費用を用意できること
  • 租税公課の滞納が少ないこと
  • 財務状況がさほど悪化していないこと
  • 債権者との関係が良好であること

以上の5点をクリアできれば、事業再建の可能性があります。

M&A

M&Aによる事業再生は、他社がスポンサーの形で支援してくれる点に大きなメリットがあります。
資金面で余裕が生まれれば債務の返済を含めて効率的な事業の再建が可能になったり、不採算事業を切り離すことで採算がとれる事業に注力できます。
そのため、M&Aによる事業再生は事業再生後の経営の効率化を目指す上でも効果的に機能します。

まとめ

黒字倒産について解説いたしましたが、ご理解いただけたでしょうか。
在庫やキャッシュフローの管理など、常に適切な管理を行っていないと、どれだけ利益を出していても倒産を招きます。
安定した経営のために、一度現金の流れや在庫管理を見直してみても良いかもしれません。
日頃からの小さな対策の積み重ねが、倒産リスクの減少に繋がります。