多くの企業が存在し、競争が激しい市場を「レッドオーシャン」と呼びます。
一般的にレッドオーシャンは避けるべきといわれますが、長い間その業界にいる企業にとって、市場を変えるというのは容易なことではありません。

そこで本記事では、レッドオーシャンと、レッドオーシャンと対をなす概念であるブルーオーシャンを比較しながら、レッドオーシャンで生き抜く方法について解説いたします

  1. レッドオーシャンとは
  2. レッドオーシャンのメリット・デメリット
  3. ブルーオーシャンとは
  4. ブルーオーシャンのメリット・デメリット
  5. レッドオーシャンで勝ち抜くためには
  6. 外部の力を借りるのも一つの選択肢
  7. 自社に合った戦略で激しい競争を勝ち残ろう

レッドオーシャンとは

冒頭でも述べた通り、レッドオーシャンとは競争相手の多い市場を指します
「血で血を洗うかのように赤く染まった海」というイメージに由来した言葉です。
レッドオーシャンでは競合が多く、差別化が難しいため、価格競争が激化しやすい傾向があります。

食品や飲料、自動車業界などがレッドオーシャンの代表的な業界です。

レッドオーシャンのメリット・デメリット

レッドオーシャンにはデメリットしかないのではないかと思われる傾向にありますが、メリットも存在しています。

レッドオーシャンのメリット

レッドオーシャンのメリットは以下の通りです。

  • 需要がある
  • 商品開発に時間がかからない

レッドオーシャンは市場規模が大きく、多数の顧客が存在します。
そのため、その市場には確実に需要があるといえます。

競争に勝ち、一定のシェアを獲得できれば、大きな利益を生み出せる可能性が大きいでしょう。

また、市場が成熟しているためプロダクトやサービスの形が決まっていることがほとんどです。
既に商品の存在や価値が消費者に浸透しており、レッドオーシャンに新規参入する企業にとってはゼロから商品を企画する必要がありません。

そのため、商品を開発したり、商品を認知させたりする時間を削ることができます。

レッドオーシャンのデメリット

一方、レッドオーシャンのデメリットは以下の通りになります。

  • 生き残りが難しい
  • 多額のコストがかかる

市場に競合が多い分、勝ち残ることが難しいといえるでしょう。
価格競争に発展する可能性が高く、薄利多売になりやすい市場でもあります。

そのため、名のある企業に有利な市場になっているため、そういった企業に負けて市場から撤退したり、廃業に追い込まれたりというケースは珍しくありません。

さらにレッドオーシャンで生き残るには他社との差別化が必須です。
消費者に選んでもらうためには、広告費や市場調査などに多額のコストがかかってきます。

資金力に自信のない企業は特に注意が必要です。

ブルーオーシャンとは

ブルーオーシャンとは、競争相手がいない新規開拓市場、もしくは少ない市場のことを指します。
新しい市場を創造することにより、他社との競合を避けながら事業を展開することが可能です。

競争の激しいレッドオーシャンに比べ、ブルーオーシャンでは競合が少なく参入失敗のリスクが低い上に、収益性を保つこともできます。

ブルーオーシャン戦略は特定の業界に限らず、あらゆる業界に適用可能です。

ブルーオーシャンのメリット・デメリット

レッドオーシャンとは逆で、ブルーオーシャンにはメリットが多いイメージですが、デメリットも存在しています。
メリット・デメリットの両方を把握した上で、経営戦略を練る必要があるといえるでしょう。

ブルーオーシャンのメリット

ブルーオーシャンのメリットは以下の通りです。

  • 低コスト・高単価なビジネスができる
  • 自社製品のブランド化が実現しやすい

ブルーオーシャンにおいては他社との競合がほぼなく、商品・サービスを低コストで提供できます
さらに、競争相手が少ないということは価格競争になりにくく、自社にとって不利な価格設定を行う必要がありません。

そのため、価格を高く設定しやすく、商品・サービスへの投資費用が回収しやすいでしょう。

また、自社製品のブランド化が実現できる可能性も高いです。
市場を開拓したパイオニアとして認知されることで、後から入ってくる企業よりも実績を蓄積でき、長期的なブランドロイヤリティを高められます。

長期的に安定した利益の確保がしやすいといえるでしょう。

ブルーオーシャンのデメリット

ブルーオーシャンのデメリットは以下の通りです。

  • 模倣されやすい
  • 需要喚起に時間がかかる

参入した時はブルーオーシャンであっても、自社製品やサービスの認知が広がると段々と市場に企業は増えてきて、自社に有利な市場ではなくなっていきます。

売上を出している商品やサービスが世に出回れば、模倣されるのが世の常です。
より低価格で模倣され、市場でのシェアを奪われる可能性があるため、商品改良や特許取得などの対策が必要になってくるでしょう。

また、ブルーオーシャンは、その存在や利用価値が消費者に伝わっていない場合が多く、顧客のニーズを引き出す必要があります。
ユーザーの需要を喚起するために、多額の広告費をかけることや大規模なキャンペーンを実施しなければならないのはデメリットの1つといえるでしょう。

レッドオーシャンで勝ち抜くためには

自社の市場がレッドオーシャンになってしまったときに、ブルーオーシャンに移ることを考えた方が良いとよくいわれますが、簡単なことではありません。
そこで本章では、企業がレッドオーシャンを勝ち抜くためのポイントをご紹介します。

  • レッドオーシャンの中にブルーオーシャンを見つける
  • 事業を掛け合わせる
  • 商品やサービスの顧客体験を向上させる

レッドオーシャンの中にブルーオーシャンを見つける

自社の市場がレッドオーシャンになり、「早く差別化を図って、売上を創出しなければ」と焦る気持ちは理解できますが、闇雲に差別化を図ってもうまくいきません。

レッドオーシャンにいる企業においてよく起こるのが、コモディティ化です。
参入した当初は価値が高かった製品について、市場が成熟してくると価値が低下し、一般的な商品と同じ価値になってしまうという現象を指します。

すると価格でしか勝負できなくなってしまい、大手企業には太刀打ちできなくなってしまいます。

コモディティ化を避けるためにも、まずは今市場で売れている商品とその特徴を分析し、その商品に対する消費者の生の声に耳を傾けてみましょう。
顧客がどの要素に納得がいっていて、どの要素に不満を感じているのか、そこに目を向けることで、差別化や売上を創出するヒントを見つけられるかもしれません。

ユーザーのニーズに応えて初めて差別化は成功に繋がります。

事業を掛け合わせる

差別化するための方法として、自社にある既存の事業同士を掛け合わせるというものがあります。

何もないところからアイデアを生み出すよりも、既存のものを組み合わせるだけなので、アイデアが生まれやすくなるでしょう。
既存の事業をベースにしているため、新規事業を立ち上げた後の展望も予測が立てやすくなります。

商品やサービスの顧客体験を向上させる

現代では、様々な分野で技術が発達しており、商品やサービスの質では差別化が難しくなってきています。
そこで、購入前からアフターサポートまでの顧客体験を向上させるという選択肢があります。

顧客体験とは、商品・サービスを知った段階から購入後までの企業との全ての接点での顧客の体験のことを指し、カスタマーエクスペリエンス(CX)ともいいます。

購入前の丁寧な接客や購入後のアフターサポートの充実度により顧客に良い印象を持ってもらい、自社製品を選んでもらえる可能性を向上させましょう。

外部の力を借りるのも一つの選択肢

レッドオーシャンを自社の力だけで乗り越えるのが厳しいという企業は、M&Aも1つの手です。

M&Aで他社を買収、もしくは自社を売却することで、自社と他社の事業でシナジーを起こし、差別化を図ることが可能です。
外部の力を借りて苦境を乗り越えるという選択も検討してみましょう。

名古屋事業承継センターではM&Aに関してのご相談を無料で承っております。
気軽にご連絡ください。

自社に合った戦略で激しい競争を勝ち残ろう

今いる市場がレッドオーシャンになってしまったとしても、ブルーオーシャンを見つけることが最適かどうかは検討の余地があるでしょう。

焦って動くのではなく、一度自社の状況を分析し、現状に合った戦略を考えることをおすすめします。
自社に合った選択肢をとることで、厳しい市場競争を生き抜きましょう。

※本記事は、その内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
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