会社の後継者に指名されたとき、経営者としてうまく会社を経営できるのか不安になる方も多いのではないでしょうか。
「自分が経営者として会社を経営できるのか」「自分は本当に経営者に相応しいのだろうか」と、後継者として会社を継ぐことに対して不安は尽きないと思います。

しかし、経営者に求められる素養や資質を知ることで、自分に足りていない部分に気付くことができ、不足している能力を補うことで、自信を持って後継者として会社を継ぐことができるかもしれません。
本記事では、経営者として求められる6つの資質と、素養を身につけるための方法を解説します。

  1. 経営者に求められる6つの資質
  2. 経営者としての素養を身につける方法
  3. まとめ

経営者に求められる6つの資質


会社の経営を成功に導くために、経営者として以下の6つの資質が求められます。

  • 明確な経営理念
  • 論理的思考
  • プラス思考
  • 先見の明
  • 柔軟な発想力
  • 謙虚・感謝の精神

明確な経営理念

経営理念とは、会社が存在する意義であり、会社の進むべき方向性を示す道標のようなものです。
会社のベースである経営理念が不安定では経営も安定しません。

後継者として会社を継ぐ場合、既に会社の経営理念は明確になっていますが、理念を体現するために、どのような取組みが必要かを経営者が示さなければなりません。

経営方針を決断することは経営者の責務であり、難しい選択を迫られる場面も多くあるでしょう。
決断を下すとき、経営者はいつも孤独ですが、決断の根拠となるものが経営理念です。

松下電気器具製作所(現パナソニック)の創業者であり、日本を代表するカリスマ経営者である松下幸之助氏も、「経営者の資質で最も大切なものは『経営理念』である」と語りました。
日本が世界に誇るトヨタ自動車も、創業者である豊田佐吉の遺訓としてまとめた「豊田綱領」と呼ばれる理念を非常に大切にしており、理念のもと革新的な生産技術を生み出してきました。

以上のように、大きな成功を収めている会社ほど、経営理念を大切にして経営を成功に導いています。
経営を成功させるために、経営者が誰よりも経営理念を理解し、経営者自身の言葉で経営理念を伝え、社内に浸透させていくことが大切です。

論理的思考

経営者として会社を成功に導くためには、論理的思考が欠かせません。

既存事業の収益を伸ばす際、過去の実績や市場の動向などを綿密に調査し、そのうえで自社のリソースを考慮して、取り組むべき改善点や課題を見つけ出す必要があります。
設定した改善点や課題が的を射ていなければ、収益を伸ばすどころか余計にコストをかけて収益を悪化させてしまう恐れも。

新規事業を始める際も同様に、世の中のニーズを正しく把握し、実現可能な形でどのようなビジネスモデルが最適であるか検討する必要があります。

これらの答えを導き出すために、論理的思考が求められます。
経営者として重要な判断が迫られたとき、感情や直感に任せるのではなく、冷静に分析して答えを導き出す論理的思考が大切です。

プラス思考

会社を経営していく道のりは、順調なことばかりではなく、逆境に立たされることも多いでしょう。
そういった逆境を悲観的に捉えず、プラス思考で考えることで逆境を逆手に取り、乗り越えることができるかもしれません。

国内外に68施設(2023年6月現在)を運営する星野リゾートは、新型コロナウイルスが拡大し、観光業界に大きなマイナスの影響を及ぼす中、コロナ禍を逆手に取った戦略で施設数をさらに増やしました。
多くの企業が先の見通せない状態で保守的な戦略を取っている中で、コロナ禍という逆境を逆手に取り新たな戦略を打ち出すことで、新しい旅行の在り方を世の中に普及させてきたのです。

経済的な逆境はもちろん、近年は技術の進歩も目覚ましく、世の中にある多くの仕事がAIに奪われてしまうといわれています。
そのような逆境があったとしても、AIの技術を利用した新しい仕事を生み出し、雇用を守りながら業務の効率化も図ることで、状況を好転させることができるかもしれません。

逆境に立たされた時、物事の見方次第でその後の選択肢が全く異なってくるため、プラス思考で捉えることで、ピンチをチャンスに変えましょう。

先見の明

先の時代を見通し、他社に先駆けて新しい取組みを始める能力は、経営者として大切な資質です。
先見の明があれば、競合他社と大きく差別化でき、変わりゆく時代の波に飲み込まれるどころか、新しい時代を牽引するポジションとして、成功を収めることができるかもしれません。

先見の明と聞くと、生まれ持ったセンスが必要だと感じる方もいると思いますが、決してそれだけではありません。
先見の明は養うことができるため、今の自分にないからといって悲観する必要はないです。

「歴史は繰り返す」という言葉があるように、これから起こるブームなどは過去のデータや出来事からおおよそ推測することができます。
過去に起こった出来事を表面的に捉えるだけでなく、ブームにある本質を捉えることでより深く理解することができ、次に来るであろう新しい時代の流れを的確に捉えることができるかもしれません。

柔軟な発想力

伝統や文化を尊重することは大事ですが、そればかりに囚われていては変化の激しい時代を生き抜くことは難しいでしょう。
経営を成功に導くためには、視野を広く持ち、柔軟な発想で新たな戦略を立てることが必要です。

柔軟な発想力とは、固定概念に縛られず新しいものを生み出す力のことをいいます。
同じ業界で長く仕事をしていればしているほど、固定観念が身についてしまっているかもしれません。

しかし、今以上の成果を求める場合や、同じやり方では通用しなくなってきてしまった場合、新たな戦略が必要になります。
柔軟な発想力があれば、様々な戦略を生み出すことができ、既存の戦略が行き詰まったときでも方向性を変えて新たな戦略に取り組むことができます。

謙虚・感謝の精神

常に謙虚・感謝の精神を忘れてはいけません。
後継者に指名されたということは、ビジネスパーソンとして成功を収めている証ともいえますが、周囲の協力なくして成功は得られなかったでしょう。

周囲への謙虚さや感謝の心を忘れると、傲慢で自分勝手な行動や決断をするようになってしまい、視野が狭くなり周りのことが見えなくなります。
周囲の意見に耳を傾けなければ、自分の気付かないところで何か問題が起こっていたとしても気付くことができず、取返しのつかない事態に陥ってしまうことも。

周囲からの信頼も厚く、誰からも応援されるような経営者は謙虚・感謝の精神を持っています。
周りの人を大切にできるからこそ、周りの人からも大切にされ、応援される経営者になることができます。

会社の取引先、今まで支えてくれた先輩・同僚・部下などの社内の人、家族や友人など、どんな立場の人にも感謝の言葉を忘れず、素直な気持ちを伝えるようにしましょう。

経営者としての素養を身につける方法


世の中の経営者の多くは、生まれながらに経営者としての資質があったわけではありません。
様々な経験や学びを通して能力を身につけてきました。

経営者としての素養を身につける方法には、次の3つがあります。

  • 経営に関する本を読む
  • 経営者育成塾に入塾する
  • 後継者育成プログラムに参加する

経営に関する本を読む

世の中には、経営を成功に導くために書かれた、たくさんのビジネス本が存在します。
大きな成功を収めている大企業の経営者や、倒産しそうな会社を優良会社に成長させた経営者など、様々な経営者が自身の経験をもとに書いた本が多数あります。

本を読むことの最大のメリットは、安くても質の良い情報を手に入れることができる点です。
ビジネス本であれば1,000〜5,000円ほどで買えるものがほとんどで、高くても10,000円以内で買うことができるでしょう。

安く買える本の中にも成功に導くための具体的なノウハウや根本的な概念などたくさんの情報が書かれているため、あなたを優秀な経営者に育ててくれる本と出会えるかもしれません。
最近では、YouTubeで気になる本を検索すれば、本の内容を要約して紹介している動画も多いため、あなたにとっておすすめの本を見つけることも難しくありません。

他の方法と比較すると気軽に始められることなので、本を読むことから始めてみてはいかがでしょうか。

経営者育成塾に入塾する

経営者を育成させるための塾があり、そこへ入塾することで経営者としての素養を身につけることができます。
経営者育成塾は、実際に経営者として成功を収めた経営者が開塾したものが多く、実践的なノウハウを学ぶことができるため、おすすめの方法です。

代表的なものとして、松下幸之助氏が開塾した松下政経塾があり、数多くの経営者や政治家を輩出しています。
入塾したからといって必ず成功できるわけではありませんが、間違いなく多くのことを学べるでしょう。

経営者育成塾は他の方法と比較して、卒業までに長い期間がかかり、多額の資金も必要になる場合があります。

中には、マルチ商法のような悪質な団体も存在するため、入塾先は慎重に検討することが大切です。

後継者育成プログラムに参加する

後継者育成プログラムは、事業を承継する後継者を育成するプログラムのことで、経営コンサルティング会社や税理士事務所などがサービスを提供しています。

事業承継の際に、後継者となる人を経営者に相応しい人材へ育成するために行われるプログラムです。
会社の状況や、事業承継プランに合わせて個別にプログラムを組んで行われるため、最も効率が良い方法といえるでしょう。

名古屋事業承継センターでも後継者育成プログラムを提供しております。
事業承継で後継者となる方が自信を持って会社を経営できるようになるまでサポートさせていただきますので、ぜひご相談ください。

詳しくはこちらのページをご覧ください。
https://jigyoshokei.jp/service/interfamilial/

まとめ

経営者として求められる大切な資質と、それらを身につけるための方法をご紹介してきました。
大成功を収めている経営者も、誰もが経営者未経験からのスタートです。

成功の裏には多くの失敗と経験があり、それを乗り越えて成功を収めてきました。
不安は尽きないと思いますが、本記事が経営者になるための一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

名古屋事業承継センターでは、貴社の状況に合わせた最適な事業承継プランを提供いたします。
後継者育成プログラムで後継者の経営サポートも行っておりますので、事業承継をご検討でしたら、お気軽にご相談ください。

※本記事は、その内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
詳しくは当センターへお問い合わせいただくか、関係各所にお問い合わせください。