日本は長年の間、後継者不在による企業の廃業数が多いという問題を抱えています。
しかし、近年は事業承継の形が多様化し、徐々に後継者不在率が回復しつつあります。
後継者として会社を継いで未来に会社を残していきたいと考える人もいるでしょう。

本記事では、後継者になりたいと考えている方向けに、後継者になるための具体的な方法や、後継者になる前に知っておくべき注意点などを詳しく解説します。

  1. 外部人材による事業承継が増えている?
  2. 後継者として事業承継するメリット
  3. 後継者になる具体的な方法
  4. 後継者候補の求人を探すおすすめのハイクラス転職サービス
  5. M&A案件を探すおすすめのマッチングプラットフォーム
  6. 後継者になるリスクや注意点
  7. 後継者になって事業を未来に残そう

外部人材による事業承継が増えている?

近年、後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を余儀なくされる企業が多いです。
日本企業の99%以上を占める中小企業が廃業することは、地域社会に様々な影響を与え、経済的な打撃が大きいため国を挙げて様々な取組みをしています。

かつては、経営者が親族に会社を後継する親族内承継が9割以上を占めていましたが、現在は4割にも満たない状況です。
その背景として、親族内承継を希望する経営者が減少していることや、後継者として会社を経営することを望まない親族が増えてきたことが挙げられます。

会社を経営することで、事業の存続や従業員の雇用確保など多くの責任が伴うため、優秀な人材に会社を継いでほしいと考える経営者は多いです。
さらに、事業承継の多様化も進み、M&Aによる事業譲渡や外部人材を招聘して、事業承継をする企業も増えています。

株式会社帝国データバンクが発表した全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)の調査結果によると、M&Aによる事業承継が初めて20%を突破したことがわかりました。
2018年~2021年まで40%弱で横ばいに推移していた親族内承継が2022年には急落し、34%まで低下。
従業員が会社で昇格して後継者になる内部昇格が33.9%になり、親族内承継とほぼ同じ割合にまで上がりました。

こちらの調査結果からもわかる通り、今後も事業承継の多様化が進み、形にこだわらず優秀な人材に会社を継がせたいと考える経営者は増えていくでしょう。

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後継者として事業承継するメリット

後継者として会社を継ぐことは、以下のように様々なメリットがあります。

  • 基盤のできた事業を譲受けできる
  • 社会的地位が得られる
  • 事業や会社の舵取りができる

基盤のできた事業を譲受けできる

後継者になる以外の方法で経営者になろうと思うと、自身で一から起業するという選択肢があります。
しかし、起業して事業を軌道に乗せるまでには多額のコストや多くの時間を費やしてしまうことになるでしょう。
起業しても軌道に乗せることができず、早々に会社を畳んでしまう企業があることも事実です。

後継者として会社を継ぐことができれば、すでに経営基盤が整っている環境で会社を経営することができます。
従業員や取引先、設備やノウハウなど会社を経営する上で欠かせない経営資源が既に揃っている状況なので、承継後すぐに安定した利益を生み出すことができるでしょう。

経営者としての役割を全うしなければならないことに変わりはありませんが、起業することと比較すると失敗のリスクは低いといえます。

社会的地位と多額の収入を得られる可能性がある

経営者は、社会的に見て地位の高い存在です。
社会的地位が高ければ人脈を広げることができたり、他者から信頼を得やすかったりと様々なメリットがあるでしょう。

社会的地位が高い人は収入も多く得られる傾向があります。
会社で大きな利益を出すことができれば、自身の収入に還元できるため多額の収入を得られる可能性があるでしょう。

事業や会社の舵取りができる

経営者になることができれば、事業や会社の舵取りができます。
会社の在り方や方向性、事業内容の方針など最終的な決定権は最高責任者である経営者に委ねられます。

事業を安定して成功させるためには、従業員や取引先の意見、社会情勢など様々な事情を考慮しながら進めなければなりません。
しかし、最終的に決定を下すことは経営者の責務です。

大きな責任を負うことになるものの、事業方針の大幅な変更や新規事業の立ち上げなど、自身の裁量で決定を下せることは、経営者になることの大きな魅力といえるでしょう。

後継者になる具体的な方法

近年、先述したようなメリットに魅力を感じて後継者になりたいと考える方は増えています。
しかし、後継者になることが難しい状況にある方も多いのではないでしょうか。

後継者になるための具体的な方法は以下の通りです。

  • 親族の会社を継ぐ
  • 今の会社で昇進する
  • 経営幹部として転職する
  • 個人M&Aで事業を買収する

親族の会社を継ぐ

近年大きくその数を減らしているものの、現在でも最も一般的な事業承継の在り方として親族内承継があります。
親や親戚など、自身の親族に経営者がいる方は親族内承継の後継者になることができるかもしれません。

後継者になりたいと考えるのであれば、現経営者にその想いをしっかり伝え、検討してもらえるように交渉しましょう。
他の親族や違う方法で事業承継しようと考えているかもしれないので、後継者になりたいと考えたら早い段階で相談することをおすすめします。

会社に対する熱意や自身の能力を理解してもらえれば、後継者候補として検討してもらえるかもしれません。

今の会社で昇進する

社内に経営者として相応しい優秀な人材がいる場合、その人に後継者になってもらいたいと考える経営者は多いでしょう。
これまで同じ会社で苦楽を共にし、会社や事業への理解が深い従業員であれば、事業承継後も経営者として会社を導いてくれる期待が持てるからです。

現在の会社へ強いこだわりがあり、将来的には会社を継ぎたいと考えるのであれば、今の会社で昇進して後継者になる道を模索してみてください。
長い年月がかかるかもしれません。
しかし、誰よりも会社や事業に対して思い入れが強く、どんな苦労も乗り越えていける覚悟があれば、後継者として会社を導いていくことができるでしょう。

経営幹部として転職する

自身が現在勤めている会社で後継者になることが難しければ、後継者候補を探している会社へ転職するのも1つの手段です。
経営幹部として他社へ転職し、数年その会社でキャリアを積んだうえで後継者になる道を開くことができるかもしれません。

現在、社内や親族に優秀な人材がおらず、後継者が見つからないと悩む経営者は多いです。
そのため、後継者候補として経営幹部のポジションで求人を出している企業も少なくありません。
その企業が求めるキャリアやスキルがあれば、お互いにとって良い縁となるでしょう。

後継者候補の求人を探すことができるおすすめの転職サイトは後ほどご紹介します。

個人M&Aで事業を買収する

ある程度の資金があり、時間をかけずに後継者として事業を承継したい場合は、個人M&Aで事業を買収するという手段があります。
事業を買収すると聞くと多額の資金が必要になりハードルが高そうに感じますが、近年は個人資産でも買収できる価格で事業が売買されるケースも多いです。

もちろん、取引額が低ければ事業としての規模が小さい傾向にあります。
しかし、「事業規模に関わらず自身の興味のある事業を経営したい」、「いち早く経営者になりたい」などと考える場合、M&Aによる買収は検討すべき手段の1つです。

M&A案件を掲載しているおすすめのマッチングプラットフォームは後ほどご紹介します。

後継者候補の求人を探すおすすめのハイクラス転職サービス

近年、ハイクラス転職サービスが増えてきて、どのサービスを利用するのが良いかわからない方も多いのではないでしょうか。
当センターがおすすめするハイクラス転職サービスは以下の通りです。

  • ビズリーチ
  • JACリクルートメント
  • ランスタッド

ビズリーチ

ビズリーチは年収1,000万円を超える求人が1/3以上を占めるハイクラス転職サービスです。
ハイクラス転職に特化しているため、経営幹部や後継者候補などのプロフェッショナル人材向け求人を多数保有しています。

ビズリーチは、企業の人事や優秀なヘッドハンターから直接スカウトが届く「ヘッドハンティング型」のサービスであることが大きな特徴です。
無料プランと有料プランの2種類があり、有料プランに登録することで取り扱う求人を全て閲覧・応募することができます。
「ヘッドハンターの質が高い」「現在の仕事が忙しくてもスムーズに進められた」という好評の声も多いため、おすすめの転職サービスといえます。

ビズリーチ公式サイト

JACリクルートメント

JACリクルートメントは日本だけでなく、海外にも活動の幅を広げているハイクラス転職サービスです。
そのため、外資系企業や海外駐在、海外の現地企業への転職も叶えやすいという強みがあります。

JACリクルートメントは登録者の満足度が高く、オリコンが発表したハイクラス・ミドルクラス転職の2023年顧客満足度調査で1位を獲得しています。
2023年だけでなく、5年連続総合1位・3年連続全評価項目1位を獲得しており、非常に満足度の高い転職サービスです。

コンサルタントや紹介案件の質の良さが高い顧客満足度に繋がっています。
コンサルタントが直接企業へ赴き、実際に話を聞いて求人を紹介する形をとることで応募企業を熟知しているため、ミスマッチが少ないことが大きな特徴です。

非公開求人も多く保有しており、中には年収1,000万円以上の高収入案件や経営幹部ポジションの求人も取り扱っているため、おすすめの転職サービスです。

JACリクルートメント公式サイト

ランスタッド

ランスタッドは、働き方先進国として知られるオランダで誕生した総合人材サービスです。
日本だけでなく世界39か国と地域に拠点を構え、外資系企業や海外企業などのグローバル人材の求人に強みがあります。

ランスタッドのサイトに掲載されているのは保有している求人の約20%としかなく、残りの80%は非公開求人です。
非公開求人の中には経営幹部クラスのような特別な求人が多いとされているため、ハイクラス求人を多く保有していると推測できます。

業種や職種に合わせて専任のキャリアアドバイザーが在籍しており、転職活動をサポートしてくれることも嬉しいポイント。
サポートが親切で丁寧という評判も多く、親身にサポートしてくれるでしょう。

ランスタッド公式サイト

M&A案件を探すおすすめのマッチングプラットフォーム

続いて、事業を買収して後継者になりたい方向けに、M&A案件を探すためのおすすめのプラットフォームをご紹介します。

  • トランビ
  • バトンズ
  • リレイ

トランビ

トランビは「Gomez M&Aプラットフォームサイトランキング2022」で総合1位を獲得した国内最大級のM&Aプラットフォームです。
掲載している案件数が多いため、交渉相手を見つけやすいという特徴があります。

さらに、M&A未経験でも成約率が約75%と非常に高く、初めてM&Aを実施する方も安心して利用できるでしょう。
未経験へのサポートが手厚いので、「M&Aはハードルが高い」「何から始めれば良いかわからない」という方でも挑戦しやすいです。

トランビ公式サイト

バトンズ

バトンズは国内最大級の成約実績を誇るM&Aマッチングプラットフォームです。
2018年に設立したばかりの新しい会社ですが、売り手側だけでなく買い手側からの信頼も大きいサービスで、国内最多の会員数を誇ります。

M&A成約数も国内No.1の実績があり、交渉開始から成約まで平均3.5ヵ月と短期間での成立が可能なことも大きな特徴です。
サイトの利便性も良く、自身の状況にあった案件を見つけやすいでしょう。

バトンズ公式サイト

リレイ

リレイは「事業承継をオープンに。」をコンセプトに掲げ、事業に懸けてきた想いやストーリーにフォーカスして新しい事業承継の形を提唱するプラットフォームです。
これまでネガティブなイメージだった事業承継をオープンでポジティブなものにし、望まない廃業を減らすことで、「大継業時代」に転換させていくことを目的としています。

運営企業が後継者を募集している事業者へインタビューして、魅力が伝わるような記事を作成したり顔が見える写真を公開したりしていることが大きな特徴です。
「今、儲かっているか儲かっていないか」ではなく、事業者の想いを知って共感をベースにした事業承継を実現したい方にとって、魅力的な案件が見つかるでしょう。

リレイ公式サイト

後継者になるリスクや注意点

後継者になることはメリットも多いですが、知っておかなければいけないリスクや注意点もあります。

  • 人材が流出する可能性がある
  • 簿外債務のリスクがある
  • 経営の全責任を負うことになる
  • 資金力が必要になる

人材が流出する可能性がある

事業承継をして経営者が変わったことで、従業員が流出してしまうことは珍しくありません。
従業員の中には、現経営者の魅力に惹かれその会社で勤めていたという人もいるでしょう。

特にM&Aによる事業買収で経営者が交代した場合、新しい経営体制を受け入れられずに多くの社員が退職するケースがみられます。
キーパーソンとなる人材の流出はもちろん企業にとって痛手ですが、それ以上に中堅社員が雪崩のように退職していく方が企業にとって大きな損失を与えかねません。

せっかく基盤のできた事業を継承しても、人材が流出してしまえば事業の継続が難しくなってしまう恐れがあります。
しっかり現場の声に耳を傾け、これまで大切にしてきた企業風土などにも配慮しつつ、従業員に混乱を与えないように事業の舵取りをすることが求められます。

簿外債務のリスクがある

簿外債務とは、何らかの理由で帳簿に記載されていない負債のことを指します。
代表的な簿外債務として扱われるケースは以下の通りです。

  • 賞与引当金
  • 退職給付引当金
  • 未払い残業代
  • 未払い買掛金
  • 損害賠償に発展する可能性のある訴訟
  • 金融商品の含み損

これらの負債は帳簿に記載されていないため、どれくらいの額に膨れているかを正確に把握することが難しいです。
親族内承継や従業員承継では簿外債務を隠しているケースはほとんどありませんが、M&Aによって買収したあとに発覚してしまう恐れがあります。

簿外債務の存在はデューデリジェンスの段階で必ず確認しますが、正しく開示されない可能性もゼロではありません。
簿外債務を引き継いでしまえば、債務を弁済する必要があるため大きな損失を出してしまうかもしれないことを覚えておきましょう。

経営の全責任を負うことになる

経営者となる以上、経営の全責任を負うことは覚悟のうえでしょう。
しかし、自身が想像していたよりもプレッシャーがかかり、大きなストレスを感じてしまう可能性は十分にあります。

これまで順調に売上を確保できていたとしても、経営者が交代してから徐々に業績が悪化してしまうケースもあるでしょう。
そうなれば経営者としての手腕を問われ、様々な方面から非難の声が挙がってしまうかもしれません。

とはいえ、初めて経営者になるので最初は何をすれば良いかわからない方は多いでしょう。
後継者が新社長になる前に準備しておくべきことについて詳しく解説した記事があるので、気になる方はこちらの記事をご覧ください。

後継者は最初に何をすればいい?社長になる前にやって良かったこと

将来的に会社を引っ張っていく存在になる後継者は、新社長に就任するまでにやらなければいけないことが数多くあります…

後継者になって事業を未来に残そう

経営者の超高齢化や働き手不足によって、2025年に大廃業時代を迎えるとされています。
しかし、日本には未来に残していきたい素晴らしい企業がたくさんあります。

後継者不在によって廃業を余儀なくされる企業を少しでも減らすために、後継者になりたいと考える方は、ぜひ自身にあった方法で後継者への道を切り開いてください。

当センターでは、後継者不在に悩む企業やM&Aで事業を売却したい企業を紹介いたします。
事業承継コンサルタントとして活動している独自のネットワークを活かし、後継者候補を募集している企業をご紹介します。
後継者になりたいと考える方は、ぜひお気軽にご相談ください。

※本記事は、その内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
詳しくは当センターへお問い合わせいただくか、関係各所にお問い合わせください。