1. 家族信託とは?
  2. 家族信託のメリット
  3. 家族信託のデメリット
  4. 家族信託の費用相場・報酬は?
  5. 家族信託が必要な人
  6. 任意後見制度との併用がおすすめ
  7. 家族信託の注意点
  8. 家族信託はいつから検討すればいい?
  9. 契約内容や手続きは専門家に相談!

家族信託とは?

家族信託とは、老後に備え、自身が保有する財産の管理を前もって家族に委託しておく制度のことです。
そのメリットは数多くありますが、例えば預貯金の引き出しや、不動産の管理を行うことができるようになります。

ただ、そんな家族信託が注目を浴び始めたのはここ数年のことであり、正確な情報が世間に浸透しているわけではありません。

そこで今回のコラムでは、家族信託のメリットやデメリット、また必要な費用などについて詳しく解説いたします。
もし興味があれば、ぜひ最後までご覧ください。

家族信託のメリット

まずは家族信託のメリットから解説いたします。

委託者の状況に関係なく財産管理ができる

例えば親が認知症を患ってしまうと、預金を引き出すことができなくなってしまったり、不動産の名義を移すことも難しくなってしまいます。
家族信託を活用する最大のメリットの一つは、そのような不便を解消し、委託者の健康状態や判断能力の有無に関係なく、財産管理ができるようになるということです。

遺言効果がある

家族信託には遺言効果があるというメリットもあります。
正確には、財産権を継承する人を指定しておくことで、遺言と同等の効果を得ることができるということです。
また、遺言とは違い、二次相続以降の相続者を定めておくことができるという、家族信託ならではの良さもあります。

遺産分割協議が不要になる

こちらも遺言と同様の効果ですが、財産の承継者を予め定めておくことで、遺産分割協議が不要になる場合があります。

遺産分割協議とは、相続が発生した遺産の分割方法について、相続者同士で話し合うことです。
それを成立させるためには全員が協議内容に合意する必要があるのですが、親族同士でトラブルになる場合もあり、不在者が一人でもいると無効になってしまいます。

家族信託を活用することで必ずしも不要になるというわけではありませんが、重大な手間を一つ省略することに繋がります。

不動産の共有リスクを軽減できる

通常の相続や贈与だと、不動産のような現金化が難しい財産を、相続人同士で共有せざるを得ないケースがあります。
しかし、財産を共有することはいくつかのリスクを孕んでおり、例えば、所有者の一人でも意思能力がなくなってしまうと、そこから得る収益自体が凍結してしまう場合があります。

家族信託を活用すると財産の所有者を一人に限定し、利益は相続人に該当する親族で等分するということが可能になります。

柔軟な財産管理ができる

家族信託と類似した制度に、成年後見制度があります。
家族信託との違いの一つはその趣旨であり、成年後見制度の目的は、委託者本人とその財産を保護することにあります。

その分、財産の運用に制限が設けられている部分もある一方で、家族信託には比較的柔軟な財産管理や資産運用ができるというメリットがあります。
反対に損失を出すリスクもありますが、あくまで委託者の意思に従い、受託者が自由に判断することができます。

倒産隔離機能を活用できる

家族信託により委託された財産は、形式的には受託者に所有権が移転しますが、実質的には委託者の所有物です。
つまり、例え受託者となった子どもが破産した場合でも、委託された親の財産が代わりに差し押さえられることはありません。

これを倒産隔離機能と呼び、万が一の場合でも親の財産を守ることができます。
ただし、もともと親が債務を追っていた場合は、その返済のために財産が充てられる可能性があるということは留意しておいてください。

家族信託のデメリット

反対に、家族信託のデメリットも紹介いたします。

誰も財産管理をやりたがらない場合がある

財産を委託され、管理・運営していくことは決して容易なことではありません。
そのため、財産の所持者が家族信託に意欲的であっても、家族の誰も引き受けたがらない場合があります。

法定調書の提出が必要になる

家族信託の受託者の義務の一つに、法定調書の提出があります。
不動産などの財産から発生する収益が3万円を超過する場合は毎年「信託の計算書」を作成する必要があり、税務署に提出しなければなりません。

親族内でトラブルが発生する場合がある

実は家族信託の受託者は複数人選定することも可能ですが、実際に委託されるのは基本的に1人だけです。
前述した通り、受託者にはいくつかの義務や責任が伴いますが、財産に関して委託者本人に取って代わるほど大きな権限を有しているという事実があります。

そのため、親族内で強固な信頼関係が築けていないと、不公平さを原因としてトラブルに発展する恐れがあり、「知らない間に財産運用をして、自分だけ利益を得ているのではないか」などの疑いをかけられる可能性があります。

長期間に渡って契約に縛られる

最後のデメリットは、家族信託の契約がいつ終了するかわからないということです。
終了の例としては、以下のタイミングが挙げられます。

  • 委託者が死亡した時
  • 信託財産が消滅した時
  • 信託の目的を達成した時

契約によってそれぞれ終了条件を設けることはできますが、その間、受託者は財産の管理・運用に拘束され、毎年の税務報告、書類作成といった業務を負うことになります。

ただし、家族信託契約は途中解約することも可能です。
委託者と受託者、双方の合意、あるいは裁判所から信託契約の終了を命じられた場合は契約の途中でも解約することが可能になります。

家族信託の費用相場・報酬は?

家族信託の契約・手続きは個人で行うことも可能ですが、契約内容の取り決めや各書類の作成など、多くの専門知識が必要になります。
トラブル発生の可能性も高くなるため、専門家に依頼することが無難ですが、報酬を支払わなければなりません。
各費用の相場は以下の通りです。

  • コンサルティング料:30~80万円
  • 公正証書手続き代行費用:10~15万円
  • 公正証書作成費用:3~10万円
  • 登記依頼費用:8~12万円
  • 登録免許税:不動産評価額の0.4%

※登記依頼費用と登録免許税は信託財産に不動産を含む場合に発生します。

総額はおよそ50~100万円になりますが、各項目の費用には個人差があり、信託財産の額によっても増減します。
特にコンサルティング料に関しては金額が変動しやすく、信託財産の0.5%~1%ほどであることが多いです。

また、財産の受託者に報酬を支払う場合もあります。
それなりの負担がかかることを加味し、報酬を支払ったり、相続の割合を増加させたりすることが考えられます。

家族信託が必要な人

様々なメリットがある家族信託ですが、前述したようにデメリットもあり、専門家に依頼する場合はその費用もかかります。
そのため、本当に家族信託契約を交わす必要があるのか、よく考える必要がありますが、一般的に家族信託は以下のような条件に当てはまる方におすすめできます。

  • 賃貸や駐車場などの不動産を所有し、資産運用をする場合
  • 介護費用や医療費に親の財産を充てたい場合
  • 第三者に関与されず、家族で財産を管理したい場合
  • 二次相続以降の相続先を決めておきたい場合

家族信託は特にこのようなケースにおいて有効であることが多いため、該当する方は利用を一度検討してみることをおすすめします。

任意後見制度との併用がおすすめ

成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度に分かれ、主に制度を活用し始めるタイミングや後見人の権限に違いがありますが、任意後見制度は家族信託と併用することも可能。
特に以下のような場合に向いています。

身上監護が必要な場合

後見制度は身上監護機能を有しています。
身上監護とは、被後見人の生活・介護・医療に関する法律行為のことであり、任意後見契約を締結しておくことで、介護施設や福祉サービスの契約、入院等の医療契約を代行することができます。
これは家族信託にはない機能なので、将来このようなサービスの利用が考えられる場合に有効です。

家族信託の対象にならない財産がある場合

家族信託は信託する財産を自由に選択できる一方で、そもそも信託することができない財産が存在し、例えば、以下のような財産は信託対象外になります。

  • 畑・田んぼなどの農地
  • 債務
  • 年金を受給する口座

一方で、後見制度も活用すれば、このような財産もカバーすることができます。
管理を委託したい財産は人それぞれなので、必要に応じて制度の併用も検討すべきだと言えます。

家族信託の注意点

続いて、家族信託を利用する際の注意点をご紹介します。
事前によく確認してから、利用を検討してみてください。

節税対策にはならない

勘違いしてしまう方も少なくありませんが、家族信託に直接的な節税効果はありません。
親が亡くなり、実際に遺産を相続することになっても、通常通り相続税を納税する必要があります。

契約の同意が滞る場合がある

家族信託契約を結ぶには、親子間で強固な信頼関係が築かれている必要があります。
親からすれば大切な財産の管理を任せることになる上、不動産登記の名義などは子どもに変わることになります。
制度自体も複雑で、契約に同意してもらうまでにはそれなりの時間を要する場合があります。

相続者全員の理解を得なければならない

家族信託において、契約に合意が必要なのは何も当事者となる親子だけではありません。
後々のトラブル発生を回避するためにも、相続人とその関係者全員の理解を得るべきだと言えます。
特にお金に関するトラブルは親族内の関係の崩壊にも繋がりかねないため、慎重に手順を踏みましょう。

家族信託はいつから検討すればいい?

ちなみに、家族信託はまだ親が元気な状態に契約を交わすことが前提であるため、一度認知症を発症してしまうと利用することができません。
また、認知症は軽度の認知障害からでも急激に症状が進行する場合があるため、親がまだ健康だからと後回しにせず、できるだけ早い段階から取り組みましょう。

契約内容や手続きは専門家に相談!

家族信託について解説いたしましたが、その特徴をご理解いただけたでしょうか。

しかし、実際に契約内容を取り決める上では様々な可能性を考慮した上、専門知識も必要になります。
また、本当に家族信託を利用する必要があるのか、まだ疑問に感じている方もいらっしゃることでしょう。

そのため、まずは専門家に相談することをおすすめいたします。
前述した通り、認知症を発症してからでは手遅れであるため、早めに行動し始めることが大切です。

※本記事は、その内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
詳しくは当センターへお問い合わせいただくか、関係各所にお問い合わせください。