1. 事業承継に生命保険は使える?
  2. 事業承継に活用できる生命保険の種類
  3. 事業承継における生命保険の活用方法
  4. 事業承継における生命保険の注意点
  5. 専門家に相談して最適な保険を活用しよう

事業承継に生命保険は使える?

経営者が突然亡くなってしまうと、親族だけでなく、企業の従業員にも多大な負担がかかってしまいます。
生命保険に加入しておけば、そのような万が一の事態が起こっても、金銭面の負担に関しては少なからず軽減することができるでしょう。

しかし、生命保険にはいくつもの種類があり、受け取った保険金の使い道にも様々な選択肢があります。
これから生命保険への加入を考えている方は、どのように活用していけばいいか迷ってしまうことも多いでしょう。

今回のコラムでは事業承継における生命保険について解説するので、生命保険の種類・活用方法・注意点などに興味がある方は、ぜひご覧ください。

事業承継に活用できる生命保険の種類

まずは事業承継に活用できる4種類の生命保険を紹介いたします。
一般的な生命保険と経営者向けの生命保険の両方がありますが、いずれも保険金の受取人を後継者に設定することで、様々な手法で事業承継に活用できます。

定期保険

名前の通り、期間が定められている保険を「定期保険」と呼びます。
比較的安い保険料で加入できるメリットがありますが、注意点は保険料が掛捨てであるという点です。
期間内に何も起こらなかったとしても、満期を迎えればそのまま契約は終了となり、満期保険金や解約返戻金などの払戻しもありません。

契約期間の更新は保険内容によって可能な場合と不可能な場合があり、特に年齢で期間が定められる「歳満了」の場合は更新できないことが一般的です。
更新できる場合もその期間には限度があり、保険料も上がってしまうことが一般的です。

終身保険

定期保険とは違い、一生涯にわたって保障が継続する保険のことを「終身保険」と呼びます。
加入者が亡くなった際には必ず死亡保険金が支払われますが、途中解約した場合もそれまでに支払った保険料に応じて解約返戻金を受け取ることができます。

保険料の支払方法には、生きている限り支払い続ける「終身払」と、一定の年齢・期間に達することで満了する「有期払」の2種類があります。
定期保険と比較して保険料は高くなりますが、貯蓄性があるため、損失になりにくい保険制度だと言えます。

長期平準定期保険

長期平準定期保険」は主に経営者向けの生命保険ですが、通常の定期保険との違いは保障期間の長さであり、終身保険のように長い期間が保障の対象になります。

一般的には期間が満了するまで保険料は一定であり、資金計画を立てやすいという特徴があります。
途中で解約した場合も、解約返戻金が払戻されることが多いというところもメリットの一つです。

逓増定期保険

もう一つの経営者向け生命保険は「逓増定期保険」です。
長期平準定期保険の保険金が変わらず一定であることに対して、逓増定期保険は一定期間ごとに保険金が高くなっていき、最大5倍まで上がります。

一方、解約払戻金の額に関わる解約返戻率のピークは長期平準定期保険より早く訪れ、その後急激に下がっていきます。
つまり、途中解約する場合に損失が大きくなってしまう可能性が高いということであり、もし逓増定期保険に加入するのであれば、途中解約する可能性も含め、緻密に計画を立てなければいけません。

事業承継における生命保険の活用方法

生命保険によって獲得した保険金を事業承継で活用する方法を解説いたします。
状況によって最適な活用方法は異なるため、それぞれの特性を理解しておきましょう。

当面の事業資金として活用する

経営者が突然亡くなってしまったことで企業の内部が混乱したり、業績が悪化してしまうということは大いにあり得ますが、あらかじめ後継者を保険金の受取人に指定しておくことで、速やかに保険金が支払われます。
その保険金を当面の事業資金に充てることで、事業承継を済ませ、企業の新体制を整える期間を作り出すことができます。

納税資金として活用する

相続した資産に対して多額の相続税が発生し、相続人が納税に苦しむケースは珍しくありません。
その対策の一つとして、自社株の評価を下げ、納税額を下げることが考えられますが、それは企業の業績を悪化させるという意味でもあり、全ての企業において最適な選択肢であるとは言えません。

どうにかして納税資金を調達しなければいけない場合もありますが、そこに保険金を充てるという選択肢も考えられます。
保険金で補えるのであれば、企業に不本意なダメージを与えることなく、スムーズに納税できるでしょう。

相続争いを回避できる

被相続人が所有していた株式が財産全体の中でも大部分を占めているというケースは珍しくありません。
その場合、後継者がその株式を相続することに対して、他の相続人が「遺留分」を主張することが考えられます。

遺留分とは、一定の相続人に保証された最低限の遺産取得分のことです。
株式を分散するという選択肢もありますが、後継者以外の相続人が株式を所有すると、経営形態が揺らいでしまうリスクがあります。

そのため、もし遺留分を主張する相続人がいた場合、可能な限り別の方法で不足分を補うことが望ましいですが、その際に生命保険で受け取った保険金を活用できます。
それによって相続争いを回避しつつ、スムーズな遺産分配が可能になる場合があります。

事業承継における生命保険の注意点

事業承継で生命保険を活用する際の注意点を解説いたします。
思わぬ損害を被らないために、生命保険のデメリットやリスクも理解しておきましょう。

無理のない資金計画を立てる

生命保険の種類によって支払方法は異なりますが、契約期間中、資金不足で途中解約せざるを得ない場合も考えられます。
その場合のリスクは、解約払戻金が大幅に低くなってしまう可能性があることです。
その時の解約払戻率によっても金額は大きく変動するため、無理のない資金計画を立て、不本意な解約は極力避けるようにしましょう。

生命保険は節税対策にはならない

以前は、法人契約によって支払った保険料の一部、あるいは全額を損金として計上できていましたが、数年後に途中解約すれば多額の解約払戻金を獲得することができていました。
つまり、満期や契約終了を迎える前に途中解約することを前提に、多くの経営者が節税目的で生命保険を活用していたということです。

しかし、2019年の税制改正によって、保険料を損金として計上できる保険商品はほとんどなくなってしまいました。
2月14日に発表されたことから、この改正は「バレンタインショック」と呼ばれていますが、これを機に生命保険を節税対策として活用することはほぼ不可能になりました。

現在も勘違いしている方は少なくありませんが、生命保険を活用する際は、本来の目的通り、経営者に万が一のことがあった時のリスクヘッジのためと考えておきましょう。

専門家に相談して最適な保険を活用しよう

事業承継の生命保険について解説いたしましたが、ご理解いただけたでしょうか。
本文の通り、生命保険には様々な活用方法があり、企業によって最適な選択肢は異なります。

選択を誤ると逆に損失になってしまう可能性も考えられるため、どの生命保険に加入するか迷った際は、まず専門家に相談することをおすすめします。
経営者に万が一のことがあり、保険金を受け取ることになった際も、どのように活用すれば良いか、企業や相続の状況を加味して、慎重に判断することが大切です。

※本記事は、その内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
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